ログハウスで食す、鴨と蕎麦

長岡市の住宅街に、ひっそりとたたずむ一軒の蕎麦屋。路地を入ると目に入る、ログハウス調の建物に掲げられた「国産石臼挽きそば粉使用 二八の手打ち」の文字。東京で修業した主人が打つ、北海道幌加内産の「キタワセ」を使用した二八の「江戸蕎麦」は、繊細でありながら力強い香りを持つ。毎日削る鰹本枯れ節を使ったつゆは、蕎麦の香りを邪魔しないキレのよさをもっている。おすすめの「つけ鴨せいろ」に使用されるのは、奈良県大和葛城山の麓で飼育された合鴨。独特の臭みがなく、うま味の凝縮された脂がつゆと合わさり、口の中が満たされる。三つ葉と刻み柚子が、主張しない程度にあっさりさせてくれ、つゆまで飲みほしてしまえる。「蕎麦に隠し味はいりません」と語る主人だからこそ、厳選した食材と、丁寧な技術を堪能できる。